Japan[製品情報]

Full Digital Soundを体験した評論家の最速レビュー(後編)

デジタルが実現してくれた僕らのハイエンドオーディオ

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浜先 秀彰

カーAVライター

写真専門学校卒業後、自動車専門誌スタッフを経て独立。
月刊自家用車(内外出版社)、ドライバー(八重洲出版)、カー・グッズプレス(徳間書店)、カーマガジン(ネコ・パブリッシング)などの雑誌でカーAVページを担当するフリーランスライター。
編集プロダクション・株式会社チャプターワン代表。
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複雑で高価なハイエンドオーディオは過去のもの。そう感じさせるのが「Full Digital Sound」。デジタル化による高効率なシステムは「ハイエンド」に対するハードルを大幅に下げて多くの人に手が届く身近なものとした。

ハイエンドカーオーディオといえば、一般的に複雑なシステムと3桁万円でも珍しくない費用が相場。「イイ音」は欲しいけれど現実的に“ハイエンド”なんて自分には縁が無い世界と考えていた。しかし「Full Digital Sound」のデモカーであるBRZに触れた時、「もしかしたら!?」。憧れの“ハイエンド”が身近になることをハッキリ感じられたのだ。

それというのもFull Digital Sound システムではスピーカーに駆動回路が内蔵されることで、外付けアンプが不要となり、システムはフルデジタルサウンドプロセッサーとフルデジタルスピーカーのみのスタイル。そしてプレーヤーには専用のデジタル出力センターユニットだけでなくスマートフォンを利用することもできるなど汎用性が高い。さらに先代モデルに比べて大幅に小型化されたスピーカーユニットやスリムボディのハイダウェイ型プロセッサーユニットは装着場所を選ばず無理のない取り付けができ、システムのシンプルさから製品の購入費や取り付け工賃も大幅に抑えることが可能。タブレット端末やスマートフォンで高精度なチューニングを誰でも手軽にできるのも嬉しいところだ。

もちろん音質面についても素晴らしい。新開発された車載専用高出力LSIや6層マルチボイスコイルなど徹底したこだわりの新技術の成果なのだろうが、実際に耳にしたサウンドは音源となるCDに含まれているひとつひとつの音を正確に拾い上げて再現しており、くっきりと明瞭。しかも音量を絞った状態でもクオリティが落ちない。イコライザーやタイムアライメントなどの効果も明確に出るようで、チューニングが決まれば自分の思い通りの音作りもできるはずだ。

憧れの「イイ音」を愛車に実現するためのさまざまなハードルを「デジタル化」による高効率で劇的に下げてくれた「Full Digital Sound」。今の時代にマッチした“僕らのハイエンド”といえるのではないだろうか。コレ、本気で欲しいです。

フレッシュで、勢いのあるサウンドが、新しい時代の到来を感じさせる

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藤原 陽祐

AV評論家

1958年生まれ。大学卒業後、新聞社で記者を経験後、29歳で独立。
以降、新聞、雑誌、webを中心にオーディオ、映像関連の記事を執筆。
主な執筆媒体は日本経済新聞、ゲットナビ(学研)、特選街(マキノ出版)、HiVi、オートサウンドweb、デジファイ(いずれもステレオサウンド)など。
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世界に先駆けて開発したクラリオンのFull Digital Sound システムの第二弾。車載専用の高出力LSI、駆動回路を内蔵したフルデジタルスピーカーシステムと、唯一無二の技術を駆使し、無駄のないスマートなシステムを完成させた。

ジャズトリオ、ヴォーカル、ピアノソロと、聴き慣れたCDから数曲再生してみたが、フワッと浮き立つ声の艶っぽさといい、空間を漂うように減衰していく楽器の響きの鮮度の高さといい、随所でただ者でないことを感じさせる。中高域よりの帯域バランスながら、音そのものの鮮度の高さは格別で、ライブ感に溢れる歌声、演奏が実に新鮮だった。

ストレスを感じさせない気持ちのいいドライブ感で、バスドラ、スネアドラムも切れ込み鋭く、足元がふらつくことがない。ベースのリズムも的確に刻み、ピアノのタッチも細やか。重量感、押しの強さで存在感を主張してくるタイプではないが、音の骨格を明確に描きながら、軽やかに躍動するサウンドは実に楽しくて、聴き心地がいい。

トータルとしてのS/N 感の良さに加えて、輪郭のにじみが少なく、空間にスムーズに拡がる響きの密度が濃い。デジタルアンプにありがちなカサツキや刺々しさはまったくと言っていいほど気にならず、ジャズトリオは活気に満ちて、ベースのリズムが気持ちよく弾む。女性ヴォーカルは艶っぽく、口元の動きが感じ取れるほど生々しい。

欲を言えば、これに体を揺さぶりかける低音が加わればとも思うが、このあたりは車にシステムを収めたインストラーの音作りの考え方を反映したもので、チューニング次第。ただ適度な音量で、明快な音の定位とトランジェントの良さを満喫するというのが、このシステムの正しい楽しみ方ということなのだろう。

カーオーディオの新しい時代の到来を感じさせるに、十分な説得力を持つ新鮮味溢れるサウンドだった。

カーオーディオの未来を担う新時代サウンドに感動!

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黛 健司

オーディオ評論家

オーディオ専門誌「ステレオサウンド」編集次長、カーオーディオ専門誌「オートサウンド」編集長を経てフリーランスとなる。現在は専門誌やウェブ媒体を中心にオーディオ評論家として執筆活動を続けている。
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クラリオンFull Digital Soundシステムはこれからのカーオーディオの姿を変えるだろう。かつてない高効率(=省エネ性能)と、高音質の両立が最大の特徴で、いままでカーオーディオでは経験したことのない、新鮮なサウンドに大いなる感動を覚えた。

クラリオンが昨秋、フランクフルトモーターショーで世界初公開した『クラリオンFull Digital Sound システム』は、今年の東京オートサロンで日本のユーザーにもお披露目されたが、その一般公開を前にした昨年末、最終調整段階にあったデモカーの『スバルBRZ』を聴くことができた。

BRZに搭載されるのは、Full Digital Sound システムとしては第二世代にあたり、今春発売予定の、フルデジタルサウンドプロセッサーとフルデジタルスピーカーで構成される「Full Digital Sound」システム。12年末に発売された第一世代モデル『01DRIVE』と比べて、さらに大きく飛躍、進化した、画期的内容の製品だ。いまとなっては『01DRIVE』は、いささか未消化な部分が散見される『実験機』的な製品だったが、今度の「Full Digital Sound」は、はるかにスマートなまとまりを見せ、システム構成もさまざまな車種への取り付けが可能な、汎用性の高いものとなっている。システムの中核となるフルデジタルサウンドプロセッサーは、光/同軸/USBのデジタル入力をもち、24bit/96kHzまでのハイレゾ音源にも対応しているのも注目ポイントだ。

一聴して驚いたのが、音の静けさ!Full Digital Sound システムは、電源から混入するオルタネーターなどのノイズの影響を受けることがないというが、その効果なのだろう、圧倒的なS/Nのよさが印象的だった。従来のカーオーディオシステムとは明らかに異なる、まるで異次元のノイズ感の少なさなのだ。S/Nがよいから、音の細かな部分までが明瞭に聴き分けられる。反応の速さ、音のスピード感も素晴らしい。J-POPやポピュラーヴォーカル、ジャズやクラシックと、さまざまな音楽を聴いてみたが、いずれも、ミュージシャンのいるスタジオや演奏会場の、ルームアコースティックの特徴までが検知できる、カーオーディオでは希な分解能の高さにも驚愕した。未来的としか言いようのない『新しい時代の音』が、BRZの中に響いていた!

オートサロン必聴!キレのある聴き味 「クラリオンFull Digital Sound」

長谷川 圭

Stereo Sound ONLINE/Auto Sound Webコンテンツエディター

雑誌Auto Soundの編集長を経て、現在はStereo Sound ONLINEでカーオーディオの専門サイトAuto Sound Web(http://www.stereosound.co.jp/as/)を担当。25年にわたる経験を活かし、記事の企画および執筆をしている。
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東京モーターショーで参考出品されたFull Digital Soundの新製品Z3、Z7、Z25W。そのサウンドが東京オートサロンでデモカー体験できることになった。そのサウンドの印象をご紹介しよう。

クラリオンが2012年にAVナビとフルデジタルスピーカーを組み合わせて発売した「Z8/Z17F」は、スピーカーボイスコイルまでデジタル信号で伝送するという革新的なテクノロジーが採用され、カーオーディオファンを驚かせた。あれから3年、クラリオンは新たに高音質Full Digital Soundとして「Z3/Z7/Z25W」を完成させた。しかも、間もなく開催されるオートサロンに出展されるデモカーのSUBARU BRZに実機を搭載、サウンド体験が叶うという。東京モーターショーで参考出品されていた時に、「一刻も早く聴かせて欲しい」と懇願していた編集部に、デモカーSUBARU BRZ完成の報が届き、試聴機会を得た。

BRZで一聴して感じるのは、切れ味鋭い印象。音の立ち上がりがとにかく俊敏なのだ。いっぽうで余韻もあっさりと消えていくのだが、このあたりはチューニングによってかなり変わってきそうではある。ダッシュボードより若干広めに展開する音場に、堂々と存在を主張する音像が定位するところも印象的だった。音楽ジャンルとしては、打ち込み系の楽器音を多用した現代的な楽曲が合いそうだ。ドアのZ7フルデジタルスピーカーとAピラーのZ3フルデジタルツィーターが5kHzでクロスする設定で、トランクのフルデジタルサブウーファーZ25Wとは62Hzでつないでいる。デモカーのソースはCD、市販AVナビMAX775Wにデジタル出力を装備した改造モデルが接続されている。

Full Digital Soundは、フルデジタルスピーカーをドライブする信号そのものがデジタルであり、その原理上、DSPの下流にあるLSIが駆動力の要となる。Z3の本体回路基板に載るLSIは「Z8/Z17F」時代とはまったく別物の新開発チップで、もっとも時間をかけて完成させたものだという。大幅な駆動力向上を果たしたことで、フルデジタルサブウーファーまでしっかりドライブ能力を獲得したようだ。実際にBRZで聴けるフルデジタルサブウーファーのサウンドは、近年台頭著しいデジタルアンプのそれとは異なるが、タイトな低音を聴かせる。また、このLSIの動作スピードは24.5MHzとしており、これにより旧モデルよりも格段に滑らかな音を実現、高品位再生がはかられている。スマホのUSB接続も可能とし、最大PCM96kHz/24bitのファイルをダウンコンバートせずに再生できる。近頃人気のポータブルデジタルプレーヤーによるハイレゾ再生とのシームレス化も進み、次のデジタルオーディオ時代を担うべくして誕生した新Full Digital Soundの可能性を確認することができた。

カーオーディオに限らず、オーディオの在り方を大きく変えるであろうフルデジタルシステム。オートサロンの会場で、多くの方がこの音を体験し、時代の証人になって欲しいと強く感じた。

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